MT5 Administrator資格範囲 その2 - サーバ設定

MT5 Administrator資格範囲 その2 - サーバ設定

このシリーズでは、MetaTrader 5 Administrator資格の取得に必要な知識について説明していきます。

第一回の前回は、MT5プラットフォームのサーバの要件を解説しました。要件を満たすハードウェアが用意できたら、次に行うことはサーバ設定ですので、続編となる本記事ではサーバ設定を見ていきます。

今回紹介する設定には、ファイアウォール設定や時間設定も含まれています。これらはMetaTraderの機能に影響する設定ですので、細心の注意を払って進めていく必要があります。

設定が必要になる理由

まずは前提として、なぜサーバ設定が必要かを見ていきましょう。

サーバ設定を行う目的の1つは、システムの安定性と安全性を高めることです。たとえスペックが十分であっても設定が不十分なら、安定性や安全性が低下する可能性があります。例えば、不要な機能を有効にしたままにすると、十分な処理速度が出ないかもしれません。

また、OSの機能とMetaTrader Serverの機能が干渉し合い、トラブルが生じる可能性もあります。このため、サーバの設定は重要なのです。

推奨されている設定

続いて、推奨されているサーバ設定を紹介します。設定の担当者は以下に記載するような操作を行い、再起動することでサーバ設定を完了させます。

なお、ここで記載する操作は推奨操作であって、必須操作ではありません。各操作を行うかどうかは、実務担当者が判断することになります。

OSの視覚的な効果の解除

OSのリソースを可能な限りServerに使うために、エフェクトや影などのユーザ向け機能はOFFにします。この操作はコントロールパネルの「システム」、「システムの詳細設定」と進めていくことで行えます。

システム詳細のパフォーマンスメニュー システム詳細のパフォーマンスメニュー

また、ブラウザの初期画面を白紙に設定することも推奨されています。

不要な役割の削除

MetaTraderで使用しない役割は削除します。なお役割詳細は、Windows Serverの管理ツールである「サーバマネージャー」から確認できます。

不要なプログラムのアンインストール

不要なプログラムはMetaTraderのパフォーマンスを低下させます。以下のようなプログラムは必要ないため、アンインストールしましょう。

  • ・ Web Server(Internet Information Server、Apacheなど)
  • ・ Mail Server、DNS Server、SNMPなど
  • ・ データベース (Oracle、MSSQL、MySQLなど)
  • ・ 開発ツール、コンパイルツールなど
  • ・ .NETやJava環境
  • ・ サーバ管理ソフト

アンインストールは、コントロールパネルの「プログラムと機能」から行えます。

プログラムのアンインストール プログラムのアンインストール

システムアップデートの設定

システムアップデートは、営業時間外に行われることが好ましいです。営業時間中にアップデートが行われると、MetaTraderに影響する可能性があるためです。

そこで、営業時間中に自動的にインストールされないように設定します。

また、アップデートについて、MetaTrader Serverインストール前に一通り済ませることが好ましいとされています。

OSの時刻同期を停止する

OS側の時刻同期機能をOFFにします。時刻同期機能はMetaTrader Serverにもあり、どちらも有効にしている場合、MetaTraderとサーバの同期設定が互いに影響してしまいます。そこで、OS側の時刻同期システムの同期はOFFにし、MetaTrader側の機能を優先させます。

OSの時刻同期機能を表示させるには、スタート検索枠に「Date and Time」または「日付と時刻」と入力します。このとき、タイムゾーンの自動設定もOFFにすることが好ましいです。

Windows OSの時刻同期設定 Windows OSの時刻同期設定

ネットワーク設定

有効になっているネットワークのうち、「TCP/IP v4」「TCP/IP v6」「Link-Layer Topology Discovery」の3種類以外は削除します。用語の意味は以下の通りです。

項目 説明
TCP/IP v4 通信プロトコルであるTCPとIPの第四版を表します。
TCP/IP v6 通信プロトコルであるTCPとIPの第六版を表します。
Link-Layer Topology Discovery ネットワークマップ(ネットワーク上の機器の配置を可視化したもの)の作成などに利用されるプロトコルです。ネットワークの正常性の分析も実施します。

この操作を行うには、コントロールパネルの「ネットワークとインターネット」、「ネットワーク接続」と進み、ネットワークの「プロパティ」をクリックしてください。そして、上記の3種類以外の項目を削除します。

ネットワークの設定 ネットワークの設定

ファイアウォール設定

MetaTrader Serverのインストール時、必要なポート*1にはアクセス許可されます。

MetaTraderのインストール後に、追加のポート設定が必要となる場合は、ファイアウォール*2の設定に変更を加えます。

設定が必要となるポートには、どのようなものがあるのでしょうか。以下の項目では例として、各Serverに関するポートを、Inbound用とOutbound用*3に分けて紹介します。

*1ポートとは、ネットワーク上の情報のやり取りに使われる送受信口です。

*2ファイアウォールとは、通してはいけない通信を遮る機能です。ポートの管理も受け持ちます。

*3ファイアウォールの設定はInboundとOutboundに分けられます。Inboundは外から中への通信、Outboundは中から外への通信を指します。

Access Server - Outbound

ポート番号 目的
Trade Serverが使うポート Access ServerがTrade Serverと接続するため
History Serverが使うポート ニュース、プライスやアップデートを受け取るため
443 MetaTraderのUpdateサーバに接続するため

Access Server - Inbound

ポート番号 目的
Access Serverが使うポート Administratorのネットワーク設定で接続設定したポートを許可するため

Backup Server - Outbound

ポート番号 目的
メインTrade Serverが使うポート メインServerの設定や時間を同期するため
バックアップデータを取得するServerが使うポート バックアップのデータを取得するため
History Serverが使うポート アップデートを受け取るため
Gatewayが使うポート Gatewayのバックアップのため
443 MetaTraderのUpdateサーバに接続するため
Access Serverが使うポート 自動切り替えが有効の場合、Backup Serverの状態を管理するため

Trade Server - Outbound

ポート番号 目的
25 メールサーバにレポートを送るため
37 TIMEプロトコルを使った時間同期のため
125 NTPプロトコルを使った時間同期のため
メインTrade Serverが使うポート メインServerの設定や時間を同期するため
History Serverが使うポート プライスやアップデートを受け取るため
Gatewayが使うポート Gatewayのプライスや取引取得のため
443 MetaTraderのUpdateサーバに接続するため

Trade Server - Inbound

ポート番号 目的
Trade Serverが使うポート メインの場合、他コンポーネントと接続するため、メイン以外はAccess Serverと接続するため

History Server - Outbound

ポート番号 目的
メインTrade Serverが使うポート メインServerの設定や時間を同期するため
Data Feedが使うポート プライスやニュースを受け取る際に外部サーバが使っているポートに接続するため
443 MetaTraderのUpdateサーバに接続するため

History Server - Inbound

ポート番号 目的
History Serverが使うポート プライスやアップデートを受け取るため
Data Feedが使うポート プライスやニュースを受け取る際に外部サーバが使っているポートに接続し、データを受け取るため

ファイアウォールの設定を行うには、検索枠に「セキュリティが強化された Windows Defender ファイアウォール」と入力します。そして、「受信の規則」または「送信の規則」を選んで、規則を作成します。

ファイアウォールの設定 ファイアウォールの設定

音声を停止

音声は不要な機能のため、コントロールパネルの「サウンド」から、サウンド設定をOFFにします。

サウンド設定 サウンド設定

パフォーマンス設定

システムのパフォーマンスを高めるために、パフォーマンス設定も変更します。ここでは4種類のパフォーマンス設定を紹介します。

デザインとパフォーマンスの設定

コントロールパネルの「システム」、「システムの詳細設定」と進み、「パフォーマンス オプション」の設定画面で「パフォーマンスを優先する」を選びます。

パフォーマンスを優先した設定にする方法 パフォーマンスを優先した設定にする方法

仮想メモリの設定

コントロールパネルの「システム」、「システムの詳細設定」と進みます。そして「パフォーマンス オプション」の仮想メモリ設定で、初期サイズと最大サイズに同じサイズを入力します。

なお仮想メモリは、メインメモリの容量を超える処理が行われる際に利用されます。

仮想メモリの設定 仮想メモリの設定

デバッグ情報の書き込み設定

コントロールパネルの「システム」、「システムの詳細設定」と進みます。そして「起動と回復」画面でデバッグ情報の書き込み設定をOFFにします。

デバッグ情報の書き込みが有効なら、システムエラー時にエラー原因に関する情報が保存されます。しかし、保存したデータを活用することが少ないため、無効にします。

デバッグ情報の書き込み設定 デバッグ情報の書き込み設定

電源オプションの設定

コントロールパネルの「電源オプション」を開きます。そして、電源プランが高パフォーマンスになるように設定します。

電源オプションの設定 電源オプションの設定

ファイル削除の設定

ファイルがゴミ箱を経由せず、即座に削除されるように設定します。ゴミ箱アイコンを右クリックし、「プロパティ」を選択すると設定画面が表示されます。

ゴミ箱の設定 ゴミ箱の設定

Server Configuratorの設定

Server Configuratorは、不要になったMetaTrader関連のサービスや記録を、サーバ内で自動で削除してくれるツールです。

Server Configuratorはインストール不要で、ダウンロード後に開けるようになります。ツールを起動したら、案内に沿って全ての項目を有効化し、処理を進めていきます。

リモートアクセス設定

業務を効率化してくれるリモートアクセスですが、セキュリティ面ではデメリットもあります。そのため、リモートアクセス機能には以下のような設定を施します。

RDP接続に関する設定

パスワードを持たないアカウントが、RDPを使ったリモートデスクトップ接続により、サーバにアクセスできないようにします。検索バーに「Local Security Policy」と入力して、設定します。

接続ポートの設定

ポートを定番のもの以外にすることで不正な侵入を防止します。検索バーに「レジストリ エディター」と入力し、「PortNumber」パラメータを開いて、設定するポート番号を10新法表記で入力します。

レジストリエディターでのポート設定 レジストリエディターでのポート設定

接続可能なIPアドレスの設定

追加的なセキュリティ対策として、アクセスできるIPアドレスの指定が挙げられます。この設定を行うと、不特定の者からの接続を防げます。

設定は、「セキュリティが強化された Windows Defender ファイアウォール」の「受信の規則」から行えます。

ウイルス対策ソフトの設定

ウイルス対策ソフト(Windows Defenderを含む)を使う場合、MetaTrader関連のプロセスをモニタリング対象外に設定します。

ウイルス対策ソフトによるモニタリングは、サーバのパフォーマンスを下げます。そこで、モニタリング対象を減らすことで、パフォーマンス低下の効果を軽減する狙いです。

なお、モニタリング対象外とするプロセスのデフォルトの名称は、以下の通りです。

プロセス デフォルトの名称
メインのTrade Server mt5msrv
その他のTrade Server mt5tsrv
Access Server mt5asrv
Backup Server mt5bsrv
History Server mt5hsrv

Windows Defenderのモニタリング除外の設定は、「ウイルスの脅威と防止」から行えます。

Windows Defenderの除外設定 Windows Defenderの除外設定

まとめ

サーバの正しい設定は、OSとMetaTrader Serverが調和を保つために必要です。また、安定したトレード環境の提供にも繋がるため、システムを構築する上では必要不可欠な工程であり、MetaTrader 5 Administratorの管理者にとって重要な知識となります。

次回は、サーバ設定に続く工程として、MetaTrader 5 プラットフォームのインストールを見ていくことになります。