MT(メタトレーダー)サーバでは、いざという時に備えて、内部データのバックアップが定期的に行われています。
そのデータを元に、サーバの復元や、バックアップデータを移植されたサーバへの緊急切り替えなどを行うことを想定した作りになっています。
MT5では、バックアップ全般の機能が備わったコンポーネントである「Backup Server」が新たに導入され、一元管理を行うことが可能になりました。
今回はバックアップの機能がどう進化したのかを見ていきましょう。
MT4は2種類のバックアップ
MT4ではメインサーバ内にバックアップ機能が付随しており、2種類のバックアップが定期的に行われます。
フルバックアップ | 1日に一回(推奨)全データ(アカウント情報、オーダー情報、プライス履歴とサーバ設定)をバックアップする。頻度は変更可能だが、大容量のため、1日一回が推奨されている |
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ショートバックアップ | より重要度の高いデータ(アカウントとオーダー情報)を短いスパンでバックアップする |
バックアップデータは、以下のディレクトリに保存されます。
BASES | 最新のプライス履歴のバックアップ |
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CONFIG | 日付毎のバックアップを格納。格納日数はアドミンで設定 |
ARCHIVE | ショートバックアップのデータ、フルバックアップで作成されたアカウントとオーダー情報、削除されたオーダーとアカウント情報、最新のレポートデータ |
設定でローカルバックアップ以外にFTP等で外部にバックアップファイルを格納することができます。
オプション機能としてチャート生成用のヒストリカルデータのエクスポートがバックアップ機能に備わっています。しかしローカルサーバにエクスポートはできず、FTP等の外部へエクスポートするための設定を追加する必要があります。またエクスポートできる記録数は512個までです。
MT4ではメインサーバにバックアップ機能が備わっていますが、切り替えを想定したバックアップサーバの設定はありません。その機能はWatchDogが担っています。
接続切り替えはWatchDog
WatchDogはメインサーバが作成したバックアップを元にリアルタイムでバックアップされたデータを別のMTサーバ(バックアップサーバ)にインポートし、メインサーバに問題があった場合、WatchDogがバックアップサーバに接続を切り替えることができます。
メインとバックアップサーバの切り替えは自動と手動での操作が可能です。
自動切り替えはアドミンのバックアップ画面で設定します。その後はWatchDogとData Centerによるチェックでメインサーバの接続不備が検出された場合、自動でバックアップサーバへと切り替わります。
緊急時の手動切り替えの場合、メインサーバで接続不可が確認された後、バックアップサーバでWatchDogとData Center(一緒に設定されている場合)を停止させます。その後、バックサーバを起動して、履歴の同期を開始(バックアップできなかった分を取得するため)することで切り替えが完了します。
また、MetaTrader 4 Report Serverを使うことでバックアップデータをMySQLにエクスポートすることが可能です。
MT5はBackup Serverで一括管理
MT5ではバックアップ全般の機能が備わったコンポーネントである「Backup Server」が存在します。Backup Serverはこれまで複数ソフトで分かれていた下記機能をまとめて管理することが可能です。
リアルタイムバックアップ | トレードサーバとヒストリカルサーバのリアルタイムバックアップが可能です。それぞれを個別のバックアップサーバで管理させ、緊急時に切り替えることができます。 |
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ローカルへのバックアップ | リアルタイムバックアップの対象となっているデータ以外のデータを1時間毎、5時間毎に分けて、ローカルにバックアップします。 |
緊急時の手動切り替え | 緊急時に手動でバックアップサーバに切り替えることが可能です。 |
サーバの移行 | 切り替え以外にバックアップサーバ自体を別のバックアップサーバと入れ替えることが可能です。 |
バックアップデータのエクスポート | バックアップデータをMySQL、PostgreSQL、SQL Server等にエクスポートすることができます。 |
設定も、アドミン画面で一括管理することができます。
データの重要度でバックアップ頻度が変わる
トレードサーバとヒストリーサーバのそれぞれで、バックアップされるデータは重要度ごとに以下の3つの区分に分けられます。特に重要なものはリアルタイムでのバックアップとなりますが、重要度の低いデータは、1時間毎または5時間毎にバックアップされます。
種類 | トレードサーバ | ヒストリーサーバ |
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クリティカル | アカウント情報、オーダー情報、約定情報、設定情報 | 取引実行情報とGatewayの設定情報 |
ノンクリティカル
(1時間毎)
|
mt5sendmail64.exeとmt5trade64.exeのファイル、プラグイン、レポートとテンプレート情報 (ヒストリサーバ) | ティックの履歴、mt5history(64).exeファイル、GstewayとData Feed、プラグイン |
ノンクリティカル
(5時間毎)
|
アーカイブ(停止アカウント等)、メール、デイリーレポート情報 | なし |
種類:クリティカル
トレードサーバ | アカウント情報、オーダー情報、約定情報、設定情報 |
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ヒストリーサーバ | 取引実行情報とGatewayの設定情報 |
種類:ノンクリティカル(1時間毎)
トレードサーバ | mt5sendmail64.exeとmt5trade64.exeのファイル、プラグイン、レポートとテンプレート情報 (ヒストリサーバ) |
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ヒストリーサーバ | ティックの履歴、mt5history(64).exeファイル、GstewayとData Feed、プラグイン |
種類:ノンクリティカル(5時間毎)
トレードサーバ | アーカイブ(停止アカウント等)、メール、デイリーレポート情報 |
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ヒストリーサーバ | なし |
サーバ切り替え機能もMT4の時よりも改良されており、手動切り替えもボタン一つで可能になりました。
外部へのエクスポートも充実
バックアップサーバの設定にあるSQL Export機能を使えば、様々なデータベースシステムへのエクスポートが可能です。以下のシステムに対応しています。
- ・ Microsoft SQL Server 2005, 2008, 2008 R2, 2012, 2014, 2016, 2017, 2019RC
- ・ Firebird 2.0, 2.1, 2.5, 3.0
- ・ MySQL 5.1, 5.5, 5.6, 5.7, 8.0
- ・ MariaDB
- ・ Oracle 11g, 12c
- ・ PostgreSQL 8.4 - 14.5
まとめ
MT5でバックアップサーバに集約されたことで、機能も統一し、より豊富なオプションが追加されました。
元の機能に加え、別ソフトにあった重要機能も組み込まれ、アドミン内で一括管理できるようになりました。